2018/6のFOMCは市場の波乱を呼ぶか
2018/6のFOMCが迫っています。今回の決定はどういう方向になりそうか、どのような影響を与えそうかmemorandomとして書いておきます。
FRBの利上げは2015年12月に始まりました。日米欧の3極で「100年に1度の危機」に対応するため、大量の流動性を供給していた状態からアメリカがいち早く離脱を始めました。
実質上のゼロ金利(FF金利誘導目標0~0.25%)から0.25%ずつ利上げし、2018年3月に6度目の利上げを行い1.5~1.75%となっています。
2017年は3回利上げを実施し、2018年度に入ってからは1月が見送り、3月に利上げ、5月は見送りでした。残る年内の日程は後5回です。
- 6/12-13
- 7/31-8/1
- 9/25-26
- 11/7-8
- 12/18-19
市場の関心は2018年は2017年を上回るペースで利上げが進むのか否か、です。もし年4回の利上げが実施されるかもと見たら、米国債への投資へ資金がシフト・株価の冷え込み要因になるという構図です。
そんなたった0.25%の利上げでそんな資金が動くもの?という気がしますが、彼ら機関投資家は扱っている額が違うので0.25%でもリスクなしで利益が得られる取引には参加します。利上げ=債券価格が安くなるということですから。
6月のFOMC見通し
ほぼ「利上げ確実」というのが現在の見方です。要因としては以下が挙げられます。
- 6月発表の雇用統計が雇用者数・失業率とも市場予想を上回る好結果。中でも失業率は3.8%と市場最低水準。
- 長期利回りが3%を超えてきている
- 5/23発表のFOMC議事要旨で「米経済見通しが維持されれば追加利上げは「近く」正当化される可能性がある」という書かれ方をされている。(5/1-2の見解なので、その後の雇用統計など市場環境を見るに「経済見通しが維持されている」という見解に建てば利上げするだろうということ。)
また、11月に中間選挙を控えてそれまでに利上げをこなしておいてもらいたいという思いはあるでしょう。
こういった点からして利上げが実施されても「市場は織り込み済み」とニュースで聞かれる方向になると予想されます。動くとすれば、議長声明のなかで年4回の利上げが示唆されるような表現があるかどうかでしょう。
では、経済見通しは安泰か?
私はそうは見ていません。サプライズは外からやって来ると見ています。
何故かと言うと、米国債が利上げされれば債券投資家は米国にシフトするだろうと思うからです。債券はそもそも償還まで持てば額面で返ってくるものです。そのお金をまた同じ債券に投資するかというと、その時に有利な(価格が低くて安全性の高い)債券に乗り換えるのは自然な流れです。
そう考えると、今まで米国債から押し出されて海外の債券に流れていた投資資金は、即座ではなく徐々に資金が還流していくでしょう。
今まで安値で資金を調達できていた新興国の側は、利率を上げないと借り換えられなくなっていく。すでに流れは置きています。アルゼンチンはすでにIMFに支援を求め、トルコは利上げを実施し、イタリアは政局の揺らぎをくらって国債利率が急上昇しています。
インターネットを見ると、アルゼンチン危機を見て「大したことは起こらないでしょう。危機を吸収できるように仕組みが整えられてますから。」とあまり根拠を明示しないアフィリエイト記事を見かけます。そんな、証券会社から広告料もらって書いているだけの経済誌の丸写しみたいな情報、当てにして良いのはその日の決済だけ気にするFXトレーダーくらいのものでしょう。
慌てて売りを薦めるものではありませんが、アセット・アロケーションの見直しをして利益が出ているものは少しずつ利確をした方がいいと思いますよ。
夏には、あのギリシアがECBとの協定更新というビッグイベントが控えています。
そういう意味では何の意味もなさそうな米朝合意の覚書も「利確のタイミングをくれた」ということで価値があるやも知れません。
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