2021年第3四半期までの金融市場を振り返る(2)

前回からの続き、

注目業界:海運株

2021年春頃から「コンテナ輸送が輻輳(≒混乱)している」という報道が経済誌を中心に見られるように成りました。「これは海運株が上がるかな?」と思い、海運株を物色してみました。当時話題になっていたのは川崎汽船で、無配企業なのに暴騰の兆しが見られる、という話でした。ちょっと川崎汽船は小さすぎるし、昔ばら積み貨物船で利益が出たときに少し儲かった商船三井を買ってみることにしました。下記はYahoo.comを使って商船三井(9104.T),日本郵船(9101.T),川崎汽船(9107.T)と中国海運最大手COSCO Shipping(01919.HK)をプロットしたものです。

元々はCOSCOの方が元気が良かったのです。もう少し伸びるかな?と思ったあたりでこちらも1単位だけ(10万ほど)買ってみました。そうすると中国恒大問題が報道されるようになると中国株全体が下落してCOSCOも下落。こちらは2万くらい下がったところで損切り。つられて日本の海運株も下がり始めてしまいました。大きく報道されると政治が動いてバイデン大統領がロサンゼルス港を24時間営業にするとか対策をうち始めたこともあるようです。10月半ばの結果としては商船三井よりも日本郵船の方が成績が良かったようです。日本郵船は定期船運行が主力なのでばら積み貨物船は商船三井の方が強いという理解だったのでちょっと予想外。三社はコンテナ事業を共通化していて、その共同持株会社が38%,31%,31%なので日本郵船の方が利益が大きい、ということだったのかも知れません。

海運株に大きな影響を与えるバルチック海運指数は急落後もしばらく伸び続けていたのです。こちらはBloombergで閲覧することができます。(細かな指数はバルチック海運取引所に有料法人会員登録しないと見られません。)

https://www.bloomberg.co.jp/quote/BDIY:IND

10/15には急落をし始めています。このあと海運株も一段下がるかな?と思いきや日本株全体の戻りと共に少し上がり始めています。日本郵船と商船三井はOld Economyで今の株価水準でも8〜9%の配当利回りがあります。10/29に決算があるので売るか持ち続けるかはそのあたりまで様子見しようかな、と思っています。気をつけないと元の株価に戻りかねないので暫くは毎日チェックかなぁってところ。

注目業界:資源・エネルギー業界

エネルギーを中心に価格が高騰し始めており物価を通じてインフレと不況をもたらすのではないか(スタグフレーション)という懸念が強まっています。最初に報道されたのは欧州の天然ガス高だったと記憶しています。
欧州でエネルギー価格急騰、世界の供給にまた打撃 2021/9/17 WSJ

その後中国で電力不足から停電が頻発し背景に習近平政権の脱炭素政策・石炭価格の高騰・オーストラリア石炭の輸入停止・国内石炭産出地域での洪水による生産停滞などがあるという解説が流れ始めました。
中国電力不足問題に関する考察 三井住友DSアセットマネジメント 2021/10/4

つられて石油価格が上がり始め、WTIは7年ぶりの高値をつけています。

WTI年間推移 https://jp.reuters.com/quote/CLc1 より

原油が上昇するとエネルギーだけではなく原材料価格を通じて物価上昇の影響が大きいため、政治側が動き始めています。また、ウラン価格も上昇を始めているようです。
FT]脱炭素でウラン高騰 原発燃料 ファンドが投資拡大 2021/10/4 日経新聞

ここまで来ると今からエネルギー関連株に参入するのはやや手遅れ感はあるのですが、何もしないよりは少しは差益が取れるかも知れません。関連株としては住石ホールディングス1514.T,INPEX(1605.T),エクソン・モービル(XOM.NYSE),BP(BP.NYSE)あたりでしょうか。変わり種としてはコンチネンタルリソーシズ(CLR.NYSE)っていうのもあります。比較的小さい会社ですが、シェールオイルの採掘も手掛けており原油が上昇すると株価が上昇します。

WTIの先物に連動するETF(1671.T 1699.T)もありますがこれはおすすめしません。原油直接ではなく先物であるからなのですが、詳しくは別記事にしてあるのでそちらをご覧ください。

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