新社会人が入るべき保険は何か?
4月になり、朝の電車でも新入社員なんだろうなという真新しいスーツのグループを見かけるようになりました。昔は会社の中に生命保険のセールスレディが普通に居て、新入社員とみると盛んに勧誘をしていたものです。
この新社会人が入るべき保険は何か!?を解説します
昔は「家は人生で一番高い買い物、保険は2番めに高い買い物」なんてことを言われました。よくよく考えて入る必要があるものです。
定期付終身保険は「オススメ」か?
先程のセールスレディに捕まると、だいたいは定期付終身保険の見積を「オススメ」として持ってきます。なぜなら「保険会社が儲かるから」です(苦笑)。まず普通の人は入ってはいけません。もし、何もこちらから言ってないのに、定期付終身保険を持ってきたら帰ってもらって構いません(笑)
なぜなら定期付終身保険は「一家の大黒柱が倒れた時に、残された家族が暮らしていく」ための保険として設計されたからです。入社していきなり「誰かを養っている」人はそうそう居ないでしょう?つまりその人に合っていない商品を持ってきているからです。もう、その時点でその人の提案を聞かなくて良いんではないかな、と思います。
医療保険は入るべきか
定期付終身保険なんていらないから、医療保険だけでいいでしょう。っていう方も居ます。
参考)新社会人の保険、「お薦め」に惑わされない選び方 日経新聞 日本経済新聞夕刊2013年3月26日付
私はこれもいらないと思います。20歳そこそこで「病気になったらどうしよう」と思うより健康に投資するべきです。
医療保険のセールストークは「若いうちに入っておくと、保険金が割安ですよ」というものです。確かにそうなんですが、ずっと払い続けた時の総額をみるとちょっと違った風景が見えてきます。
題材に2018/4/26現在でkakaku.com医療保険分野で一位となっているオリックス生命保険の新CUREを見てみましょう。2018年に22歳男性が入院日額5000円の医療保険に入った場合の保険料が1282円です。条件は以下の通りでほぼ最安の条件です。
- 入院日額 5,000円
- 手術給付金 入院中10万円/外来2.5万円
- 先進医療特約 付加
- 重度三疾病一時金特約 なし
- がん一時金特約 なし
- がん通院特約 なし
- 保険料払込期間 終身
もし同じ保険に30歳男性が入ろうとすると1,582円、40歳男性が入ろうとすると2187円です。これを日本の男性の平均寿命と言われる79歳まで生きたとして払う保険料の総額を計算すると以下のようになります。
加入時年齢 | 月額保険料(円) | 79歳までの保険料総額(円) |
22 |
1282 |
876,888 |
30 |
1582 |
930,216 |
40 |
2187 |
1,023,516 |
30歳で加入すると約6万、40歳では15万もの差が開いてしまいます…。
ってマテ(笑)「総額87万も払うんかーい!」
私にはこの総額87万円を取り戻せるほど入院するとは到底思えないのです。家系に大病持ちが多くて「もしかして自分もそうなりそうで不安」というなら別ですが、病気になるのは40代50代以降が多いのですから、その時に考えても良いはずです。少なくとも扶養する家族構成が決まる前に入るべきとは思えません。
なぜなら、79歳まで生きるという前提で考えると何歳で入っても生涯に渡って払い込む金額はそんなに変わらないのです。
加入時年齢 | 月額保険料(円) | 79歳までの保険料総額(円) |
22 |
1282 |
876,888 |
30 |
1582 |
930,216 |
40 |
2187 |
1,023,516 |
50 |
3172 |
1,103,856 |
60 |
4677 |
1,066,356 |
70 |
6842 |
738,936 |
70歳で減るように見えるのですが、それは寿命が減っているからです(苦笑)70歳で医療保険に入ろうという方もそうそう居ないと思いますが…。
この事から保険に入るべきタイミングは「養う人ができた時」というのが私の持論です。
それよりもその金額を毎月積み立てる事をオススメします。もし1282円を積み立てると、30歳までに12万、40歳までに27万を貯めることができます。
日本には国民皆保険というありがたいものが有り、基本的に3割負担で医療を受けることができます。窓口支払に上限を設ける高額療養費制度というものもあります。国民保険の場合でも1回の窓口支払は80100円が上限です。
日帰りの手術も多くなっています。国も医療費を削減したいので長期入院はさせないで「地域・家庭に返す」ことを基本にしています。保険でいくらGETできるか、より「そのぶん貯蓄!」をオススメします。
敢えて入る早期に入るメリットは「一度大病をしてしまうと、医療保険は入りづらい」という事があります。だからと言って「自分は自堕落だから、将来成人病になりそうな気がするから早いうちに入っておこう」とかは本末転倒です。
ジムに通うとか、体にいいものを食べるとか健康にお金を使ったほうが良いと思います。
20代でも起こりうることに備える
では、何に入ればいいか。候補としては20代であっても起こりうる突発的な事故に備えておけばいいと思います。つまり損害保険ですね。
お勤めの会社や労働組合で斡旋があれば「総合保障型」と呼ばれるもの、なければ全労済や県民共済などの共済のケガ・賠償に備えるものがあれば良いのではないでしょうか。
そうは言っても、一生払い続けると高額になるのはこれも同じです。
私の一番のオススメは「自家保険」、つまり貯蓄です。保険に入る余裕があるのならば、そのお金を貯める。もし貯められない性格なのであれば財形貯蓄など給与天引きになる金融商品を考えましょう。
くれぐれも、保険セールスの餌食にはなりませんよう。