2021年第3四半期までの金融市場を振り返る
早いもので2021年も10月を迎え3/4が終わりました。コロナのもとなんとなくピリッとしない日々が続きますが金融市場は激動だったと思っています。第3四半期までを振り返りこの先の展望を少しでも考えようと思います。
2021年のマーケット全体
下図は2020年初からのS&P500と日経225をyahoo.comで比較したものです。
2020年春のコロナショック後双方とも中央銀行の金融緩和を受けてほぼ右肩上がりで上昇してきていました。日経225については2021年2月に高値をつけた後、日本企業は儲けが出ているのに株価が上がらないという状態に陥りました。これは欧米諸国ではワクチン接種により行動制限緩和が進んでいるのに出遅れた日本では緊急事態宣言が続き、その上オリンピックを開催しようとしたことで民意の賛成を得られなかった上に感染拡大が拡がるのではという話が流布されていたかと思います。9月に再度急激な上昇を見せドルベースで31年ぶりの高値、と騒がれましたが不動産大手)中国恒大グループの債権デフォルト懸念から中国株全般が軟調になりつられて世界株が売られる局面でもとに戻ってしまった感があります。
日本の企業業績自体は順調で日経225のPERも12−13倍と低いことから「この先年末に向けて上がっていく」と見ているアナリストは多く居ます。一方で中国恒大は氷山の一角で中国の不動産市況全般が下がれば他の不動産業界全体に波及するという見方も存在します。事実、問題は社債だけではなく理財商品と呼ばれる個人向け財テク商品をグループ会社が発行していました。ニュースで大きく騒がれた中国恒大本社ビルでの「金返せ!」デモは、この理財商品の支払いがされなかった事に個人投資家が抗議に集合した様子です。
これはかなり映像としてセンセーショナルなものであったため、企業の社債デフォルトを超えて衝撃が走りました。日本でも中国関連で業績を上げているであろう株が軒並み下げ世界同時株安の状況を呈しました。
その後米国株は落ち着きを取り戻し、上昇してきていますが中国経済の影響をより大きく受ける日本株はまだなかなか上昇が見られない、という状況です。
中国共産党としては、「共同富裕」というスローガンを掲げ始め2年ほど前から加熱した不動産・IT・芸能界などの規制を矢継ぎ早にうってきていました。今回の問題はそれが表面化しただけで大きな流れの中の1つに過ぎない、という認識のようです。富豪を叩きつつ、過剰な儲け主義を非難して寄付を奨励(事実上の強制)して個人の債権は保護して過熱感を沈静化して行きたい、というのが思惑のようです。その通りに事が進むかは予断を許さないものがありますが、日本のバブル崩壊時の住専問題のような紛糾はしづらくメディアに出ない場所で流動性を供給しつつ利払いだけさせて後は他社に資産を引き取らせて、中国恒大自体は清算する、ということを目論んでいるんだと思います。
ただ、リスクはあるのでしばらく中国株に外国のリスクマネーは入りづらいと思うので中国の景気動向を受けやすい日本やアジア株も総じて軟調傾向が続くと見ています。
今後マーケットに入っていくとすれば、日本株中心より米国株中心に見ていくほうが良いのではないでしょうか。
注目株:モデルナ
下記はメッセンジャーRNAワクチンで一躍有名になったモデルナの2021年初からのチャートをyahoo.comで見たものです。比較線のGSPCはS&P500指数ですがそれが平坦にみえるほどの暴騰を演じています。
8月に最高値をつけた後死亡者問題が報道され急落し、9月にはバンク・オブ・アメリカのアナリストから成功した創薬がまだ1つしかないのにメルクなどと同じ時価総額は高すぎであると売り推奨をだされて一段の急落になっています。こうした場合、マーケットメイカー(市場の流動性を確保するために売り買い両方の注文を出すブローカー)が、リスク回避のためにプット・オプション(特定の価格で売れる権利)を買い、プット・オプションの価格変動を参考にして自動取引する投資家から売りが殺到するという経路で暴落したようです。この間に1株100ドルくらいは下げていて30%くらいは吹き飛んだことになります。
確かにPERは30倍を超えていて割高感はありますし、ワクチンは後続が追いついてくるのでより副反応が少なくて扱いやすいワクチンが出てくれば売上高は2021年でピークを付けてしまうのではないかという観測もあるようです。
株価が暴落した時期は中国恒大ショックと同時であり、今後は米国株の上昇に釣られて再反転しそうな様子もあります。まずは次の決算発表まちということろでしょうが、決算発表を見てから買うと高値づかみする可能性もあり他社の状況見つつ勝負に出る、という選択肢もありそうです。
個別の注目業界は下記に続きます。
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