【証券会社つかってみた】auカブコム証券編

個人投資家兼ファイナンシャル・プランナーがネット証券会社を実際に使ってみて、ここは良い、ここは良くない、といった実際の所をお伝えします。今回は大手ネット証券の一角、auカブコム証券です。三菱UFJフィナンシャルグループのネット証券会社として設立され、今はauの出資を受けて両社の合弁会社として存続しています。大手ネット証券会社の一角として存在感を発揮しています。

auカブコム証券の特徴

「初心者向け証券会社」を標榜しており、初心者向けサービスを重視している感はあります。他のネット証券会社が安さを武器に頻繁に取引をするヘビーユーザーをターゲットに戦略を立てているのに対し、それとは一線を画したサービスを展開しています。

auカブコム証券の良いところ

自動取引の選択肢が豊富

幾らまで下がったら損切のための指値注文・幾らまで上がったら成行注文・指値注文でしておいて成立しなかったときに締めで成行注文に変更、といった自動取引の種類が豊富です。これらのいくつかは特許をとっており他社に真似できないようです。これは長らく社長が金融出身ではなくSE出身の方が務められていて「自社開発」を標榜していたことと関係するようです。

結果として「リスク管理追求型」ということを言っていてこれはどちらかというと信用取引を併用したリスク管理追求に向いています。ファイナンシャル・プランナーとしては超初心者は「定期積立のBuy&Hold」と「定期的な資産配分の見直し」の方をおすすめするんですが、それだと楽天証券の方が向いていると思います。

短期投資を初めてみたいけど、まだ売買のスタイルが確立してない「専業投資家を目指す初心者向け」っていう位置づけなのかなという感じです。そう思って見てみるといろいろなサービスが腑に落ちる感じです。

単元未満株式の積立ができる

日本株式には、取引単位として単元株というものがあります。100株とか1000株とか。それ以下の単位での株式を単元未満株式というのですが、これを毎月「○万円の範囲で買える額まで買う」という設定ができます。SBIやマネックス証券でもあるのですが、スポット取引のみで毎月積み立て購入とかはできないようです。ドルコスト平均法という観点では金額買付ができるSMBC日興証券のような金額指定ができるキンカブの方が有利です。カブコム証券の積立はあくまで設定した額の範囲で株数を買うということで株数の端数が存在しません。カブコム証券の積立が有利な点は、1株でも持っていれば株主名簿に記載されて会社からのニュースレターなどが届きます。株主向けの内容なので少し知識持ってないと読み取れないですが。

初心者向けの情報発信が充実している

Youtubeライブを活用した即時性の高い情報発信をしています。市場全体・外部環境・チャートの動きといったテクニカル指標をチーフストラテジスト自らが解説するという番組を持っていたりして、充実している印象です。投資のヒント、みたいなのもあるんですがカブコム証券で取り扱いがある日本株式で売り買いして儲けましょう、というスタンスなので長期のBuy&Hold投資家には向いてないのではないかなぁという印象。一日〜数日での損益確定を目指しているっぽいので、そういう方向け。

youtubeのチャンネルは以下からみることができます。中でも毎週火曜20時から行われてるチーフストラテジストの市場解説は、投資初心者が動きを理解するにはとても役に立つ内容です。

https://www.youtube.com/user/kabucom8703

投影資料は口座を持っている人しかダウンロードできませんが、解説内容はどなたでも見ることができます。投資講座にありがちがバカ高い手数料の投資信託を勧められることもないので非常に良心的です。

ただ、オススメ銘柄のカバー範囲が国内株式のみだというのは取り扱いラインナップの故だと思いますのでその辺は割引きましょう。

良くないところ

外国株の取り扱いがない

いまや多くのネット証券が扱っている外国株の取り扱いがありません。特に株主還元や企業成長の姿勢が強い米国株の取り扱いが無いのはいたいです。この証券会社で外国株に投資しようとした場合、投資信託かETF(上場投資信託)しか選択肢がありません。信託報酬率が安いものばかりではないのでやはり外国株投資の選択肢は多いほうが良いです。特に2つの考え方から管理人は外国株投資をおすすめします。

  • 日本の人口が減少に向かい、どうしても国としての先高感がない。上がるときは外国人投資家頼り。
  • 日本市場で働いて日本で給料を得ている場合、日本の景気動向に左右される。リスクの分散という意味では投資による収入は外国株を柱の一つにしたほうが良い。

もしあなたが外国で働いていて、将来的に日本で老後を過ごしたい、と思っているのであれば為替リスクのない日本向け投資は視野に入れていいいと思います。「体は資本」とはよく言ったもので資本である自分の労働から定期的な収入を得ています。日本で働いている場合はボーナス・給与水準・年俸査定と言った労働査定は日本経済の動向で左右されます。だとしたら投資先は日本ではないものを中心にしたほうがリスク分散のほうが良いんじゃ、というのが筆者の考えです。自分にとって興味や馴染みがあって業績がわかりやすい外国株に個別投資して業績成長を待つのが良いんじゃないかなぁって思います。

個別保有株の損益・前日比などがわかりにくい

PCでカブコム証券のサイトに入ると資産管理メニューから個別資産の一覧が出ます。この画面が買ったときからの評価損益と損益率しか出ないんですよ…。日々の動きとか前日比でさがってる傾向なのかということが分かりづらいのです。毎日やってる専業投資家なら良いのですけど、週末とか数ヶ月に一回チェックしている兼業投資家の場合(多くのサラリーマン投資家はこちらになります)、自分の持っている株が市場の流れに追随してるだけなのか、市場に反して上がっている、下がっている、というのは知りたいと思います。アルファ(個別株要因)+ベータ(市場全体要因)で株の投資収益はかわるっていう概念ですね。

それが非常に分かりづらい。これは個別株を長期で持っている個人投資家には特に面倒だと思います。短期売買を繰り返す向きにはそんなに気にならないかも知れません。上述の自動取引の豊富さを勘案すると「短期で売買を繰り返すアクティブ投資家」をメインターゲットにしている印象です。

こんな人にオススメ!

短期売買を繰り返す専業投資家に近い形態を目指しているが、何から初めて良いかわからない方。

ずっと株の画面は見ていられないので「○円下回ったら損切で成行注文」とか自動売買を仕掛けておきたい方。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください