【証券会社つかってみた】PayPay証券編
個人投資家兼ファイナンシャル・プランナーがネット証券会社を実際に使ってみて、ここは良い、ここは良くない、といった実際の所をお伝えします。今回はPayPay証券をお送りします。
目次
PayPay証券の特徴
元々はスマホで取引が完結するOne Tap BUYという名前でサービスを展開していました。その後ソフトバンクグループからの出資を受け、PayPay証券に商号変更し今に至っています。
PayPay証券の良いところ
米国株・ETFの定額積立ができる
定額積立は個人投資家の強い味方です。なぜならば「高いときには少ない株数を、安いときには多い株数を買う」という事が手間いらずでできるからです。これによって平均買付単価を下げることができます。これをドルコスト平均法と言います。ドルコスト平均法については下記の記事で詳しく書いていますので参照してください。
手数料率は0.5%なので他社と比べても遜色がありません。最低手数料でいうと他の大手ネット証券会社の方が安いのですが米国の個別株が定額積立できるのは他社にない強みです。
米国株の定期買付はSBI証券やマネックス証券もサービスがあります。しかしこちらは「一回の上限金額を定めてその範囲で買付を行う」というものです。1株が何万もするような株の場合は「毎月1株ずつ買う」と言ったことに成りかねません。PayPay証券は金額の範囲で端数株式の権利を持つことができるのでドルコスト平均法の利益を遺憾なく享受することができます。
また日本株・ETFについても同様に積立ができるのですが、0.5%の手数料がかかってしまいます。それだったらSMBC日興証券の「キンカブ」の方が買付手数料無料なのでPayPay証券を使う理由が見当たりません。SMBC日興証券のキンカブについては下記の記事でご紹介しています。
スマホだけで取引ができる
これはPayPay証券の長所でもあり短所でもあるのですが、パソコンを持っていなくてもスマホさえあれば株の取引ができます。サービス別にアプリが別れているので使いたいサービスごとにインストールが必要です。管理人のおすすめは米国株の積立ができるところなので「つみたてロボ貯蓄」アプリだけでも充分なのでは、と思っています(^_^;)
良くないところ
取り扱い株が限定されている
端数株まで所有できるという仕組から仕方ないのだとは思いますが、取り扱い株の種類は多くはありません。それでもアップルやマイクロソフトと言った個人投資家に人気の銘柄やP&G・ジョンソン・エンド・ジョンソンといった高配当株で有名な銘柄も網羅されているので選択に困ることはあまりないと思います。
選択が面倒、という方は全米の株式に投資するに近いほどの分散効果が得られるVanguard Total Stock Market ETF(VTI)というETFやS&P500指数に近い投資成果を目指すSPDR S&P 500 ETF Trust(SPY)なんてのもあります。
S&P500はニュースで普通に情報として流れてくるので常に株価をチェックしていられないという方の投資の入り口としては良いものだと思います。もっと有名なニューヨークダウ工業株30種平均は銘柄数が少なく分散効果が低い上、Old Economyが多く、投信信託報酬が高いものが多いので管理人はあまりおすすめしていません。
ただ、インデックス指数連動型のパッシブETFであれば他の証券会社で投資信託として販売されています。もしそれで良いのであればPayPay証券をメインにする理由は余りありません。管理人のオススメは楽天証券に積み立てNISA口座を作って楽天カードからの引き落とし積み立てでインデックス投信を買うことです。なにせ投信買うだけで楽天ポイントがつくんです!!楽天証券の詳細は別記事にしていますのでご参照ください。
大手会社は網羅されているので投資先に困ることはありません。ですが、新興会社に投資して「この会社は伸びる!!」っていうことをしたい方には向いてないと思います。そういう事がしたい方は、取扱銘柄数の多い、マネックス証券、サクソバンク、もしくは現地の証券会社に直接口座開設したほうが良いです。
銀行の口座開設はマネー・ロンダリング対策のため口座開設は難しくなる一方ですが、証券会社の口座開設はさほどでもありません。現地に行って証券投資したい、と(たぶん英語)でコミュニケーションできればたぶん投資口座開設してくれます。確定申告が大変なのでそれなりの覚悟が必要ですが(^_^;
銘柄の情報更新が遅め
上記の銘柄紹介に行くと、どんな銘柄か詳細情報が記載されています。
この情報更新が余り早くないんですよねぇ…。去年の決算情報のまま1年更新がないというのもザラです。この会社の情報だけを頼りに投資をするのは危険だと思います。米国Yahoo.com,Reuters,Bloombergなんかを定期的にチェックしている人なら心配はないと思います。
米国株手数料が最安というわけではない
米国株手数料は大手ネット証券では0.45%ので業界最安、というわけではありません。DMM.com証券に至っては無手数料にしています。その代わりUSドルでの預けができず全て日本円での売買になります。その為替手数料でカバーしよう、ということのようです。これに関してはPayPay証券も同様で円での売買になります。2021年現在かなりの円安なので「手元にある円高だったときのドルで売り買いしたいなぁ」という方にはちょっと残念な仕組です。
NISAの取り扱いがない
これはかなり痛いです。PayPay証券の良いところは米国株の個別銘柄をドルコスト平均法で買付ができる、という一点だというのが管理人の認識です。その場合、NISAもしくは積み立てNISAにして米国投信の報酬が安いものにしておいた方がいいのでは?と思います。日本での取り扱いになるので信託報酬は少し上がってしまいますが。例えばこんな選択肢があります。
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) (SPYなどS&P500インデックスETF相当)
楽天・全米株式インデックス・ファンド (VTI相当)
PayPay証券はあくまで米国の個別銘柄をドルコスト平均法を使って買いたい人におすすめです。
スマホでしか主要な取引ができない
スマホで完結することを目的に開発された証券会社なので、PCでできることが限られています。PCで銘柄情報を見て「あ、いいな」と思ってもスマホに変えて取引する、というのが現状のよう。スマホでも銘柄情報は提供されているのでそれで済む人は良いのですが…。個別銘柄を選ぶ場合はスマホのみよりちゃんと銘柄分析したほうが良いのでは、とファイナンシャル・プランナーとしては思います。
こんな人にオススメ!
米国上場株をドルコスト平均法を使って平均買付単価をさげて買い付けたい人!
…以上です(笑)
他社にないサービスなのでこれに魅力を感じる人はメインにするとよいのですが。NISAや積み立てNISA・iDeCoは節税対策として活用してもらいたいので、この証券会社のみっていうのは流石におすすめできないです。でも、他に無いサービスを提供している会社なので取引会社の一社に加えることは考えてもらいたいレベルの会社です。
なにせ、日本はこの先人口減少で国内総生産や企業業績が先細りなのは明らかなのですから、海外に目を向けてもらいたいのです。